皮脂は多くても少なくてもNG? 意外な役割&トラブルを防ぐケア方法
皮脂はベタつきやテカリ、ニキビの原因になることがあるため、肌にとって悪者だと思われがちです。しかし、皮脂が少なすぎる場合も美肌から遠ざかってしまいます。そもそも皮脂にはどのような役割があるのか、皮脂の増減によって起きる肌トラブルや、適切なケア方法とあわせて探ってみましょう。
目次
皮脂は、毛穴の中にある皮脂腺から分泌される物質です。その主成分は中性脂肪であるトリグリセリド。他にはワックスエステルやスクワランなど、化粧品に配合されるような成分も含まれています。
皮脂は、肌にとって天然の保湿クリームといわれています。肌の表面を覆って水分の蒸発を防ぎ、うるおいを保つ役割をするのです。また、外部からの摩擦や刺激から肌を守る保護膜にもなります。つまり皮脂は、肌の健康維持に欠かせない存在なのです。
皮脂は多すぎても少なすぎても肌トラブルの原因になります。どのようなトラブルが起きやすくなるのか、皮脂量別に見ていきましょう。
・ニキビ
ニキビは、毛穴に皮脂が詰まることによって起きる肌トラブルです。皮脂を好む悪玉菌が毛穴内に繁殖すると、炎症をともなった赤ニキビや黄ニキビなどに悪化してしまいます。額や鼻など皮脂分泌が活発な部分にニキビができやすい場合は、皮脂量の増加が関係しているでしょう。
・くすみ、黒ずみ
皮脂が長い時間空気に触れて酸化すると過酸化脂質という物質に変化し、くすみや黒ずみの原因になります。活性酸素を発生させることで、シミの原因にもなるメラニン色素を増やしてしまうのです。鼻の毛穴に発生する黒ずみも、過酸化脂質が原因になっている可能性があります。
・脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が多い部分に発生する炎症・湿疹のこと。皮脂をエサとするマラセチア菌が異常に増殖すると、赤み、かゆみ、皮むけなどを引き起こします。皮脂腺が発達している小鼻のわき、眉間、頭皮、脇などに発生しやすいという特徴があります。
・乾燥
皮脂量が少ないと肌の水分が蒸発しやすくなるため、乾燥肌の原因になります。年齢を重ねると肌が乾燥しやすくなるのは、皮脂の分泌量が加齢とともに減少することが大きく関係しています。
・バリア機能の低下
皮脂量が少ないと肌のバリア機能が低下し、外部刺激に弱い状態になります。紫外線ダメージを受けやすくなる、摩擦に弱くなる、雑菌が侵入して炎症が起きやすくなるなど、さまざまなトラブルの原因になってしまうのです。
皮脂トラブルを防ぐためには、肌質に合わせた保湿ケアが必要です。皮脂量が多い場合は、まず洗顔でやさしく皮脂を洗い流し、そのあと化粧水でしっかり水分を補いましょう。水分を与えたら、ジェルなど油分が少なめの保湿剤で覆うと効果的です。水分と皮脂のバランスが整うと肌が健やかな状態になり、トラブルを未然に防ぐことができます。 対して皮脂量が少ない場合は、化粧水で水分を補ったあと、油分が多めに含まれる乳液やクリームを重ねましょう。油分が皮脂の代わりになり、うるおいを保ちやすくします。皮脂量が多い肌には水分、皮脂量が少ない肌には油分と、バランスを考えた保湿ケアをおこなうことが大切です。
「夏は皮脂量が多くて肌がベタつくのに、冬は皮脂量が減ってカサカサになる」という方も多いですよね。その理由は、気温の上昇とともに柔らかくなった皮脂が汗と一緒に流れ出るため。汗をよくかく夏場は、おのずと皮脂量が増えやすいのです。 ですから、季節に合わせた保湿ケアを意識することも重要です。皮脂量が季節によって変わるようなら、夏は油分少なめ、冬は油分多めのスキンケアアイテムに切り替えましょう。
肌をこすると、それ以上の刺激を受けないように皮脂量が増える恐れがあります。洗顔、クレンジング、スキンケア、メイクなどいずれのときも、肌にはできるだけやさしく触れるようにしましょう。もちろん乾燥肌の場合もバリア機能が低下しているので、肌をこするのは禁物ですよ。
紫外線は肌を乾燥させるうえに、皮脂の酸化を招く原因になります。シミや日焼けだけでなく、皮脂トラブル予防のためにも、紫外線対策を万全におこないましょう。 紫外線は年中降り注いでいますから、普段から日焼け止めやUVカット効果のあるメイクアイテムを使うことがポイントです。さらに強い紫外線を受けるシーンでは、UVカット素材の日傘や帽子などを併用しましょう。
ストレスや睡眠不足が続くとホルモンバランスが崩れ、皮脂量が増えやすくなります。肌のターンオーバーが乱れる原因にもなりますから、できるだけリラックスして過ごすこと、質の高い睡眠をとることが大切です。
ビタミンB郡には、脂質の代謝を促して皮脂分泌をコントロールする働きがあります。ビタミンB郡は肌荒れ予防にも役立つ栄養素ですから、食事やサプリなどで積極的に補いましょう。 食品から摂る場合は、ビタミンB2が多く含まれる卵、納豆、レバー、アーモンドや、ビタミンB6が多く含まれる赤身肉、まぐろ、カツオ、バナナなどをバランスよく取り入れると効果的です。
今回は、皮脂の役割や重要性、コントロール方法などをご紹介しました。お伝えしたように、肌のうるおいと健康を保つためには水分と油分の両方が必要です。肌質や季節に応じたスキンケア、皮脂量を整えるインナーケアで、トラブルのない健やかな肌を維持していきたいですね。